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アーカイブ > 鈍行列車で巡る北部九州カフェぶらり旅 

 
 3日目の朝。ホテルの窓のカーテンを開けると、そこには路面電車が走っていました。「そっか、俺、長崎に来てるんだ…」前日のハードスケジュールがたたり、寝落ちしてしまっていたので長崎に泊まっていることもすっかり忘れてしまってました。「そうだ!こうしてはおれん!」早々と支度をしてチェックアウト。この日は朝から行く場所が決まっていたんです。出島のホテルを出ると、ホテルのそばの川沿いにはたくさんの提灯が。何かのお祭りが開催されているようでした。

 
 僕は長崎に行くと、毎回必ず立ち寄る場所があります。それは「長崎原爆資料館」。原爆や戦争の悲惨さを後世に伝える為に建造された資料館です。事前に調べてみると朝8:30から開場していたので一番乗りで資料館入り。ひとりでゆっくり館内を拝見させてもらいました。何度行っても色々と考えさせてくれる場所です。資料館を後にしてからは一旦出島に戻り、出島ワーフにある「ATTIC」さんを初訪問。ここのオーナーの野田さんとはSNSでずっとやりとりをしていたのですが、お会いするのが今回が初めて!ATTICさんはこの出島ワーフでカフェとレストラン、コーヒースタンドの3店舗を営業されていらっしゃいます。まずはコーヒースタンドの方でいろいろお話をさせて頂きました。

 
 ATTICさんは出島とゆかりのある坂本龍馬にちなんだ「龍馬カプチーノ」なるメニューも提供しているとのこと。「せっかくなので、飲んでみませんか?」そう言われ、龍馬カプチーノを初体験。うわっ!まんま龍馬じゃないっすか〜!しかもカッコイイ!!聞いた話によると、大河ドラマで「龍馬伝」が放送されていた頃には、この龍馬カプチーノ飲みたさに全国からお客さんが殺到し、長蛇の列が出来る時もあったんだそうですよ。最後にオーナーの野田さんと一緒に記念撮影。野田さん、いろいろお世話になりました〜♪

 
 それからしばらく長崎市内をプラプラ散歩しながら観光。久々の長崎。しかもひとり旅。路面電車を乗り継ぎながら、いろんな場所を見てまわりました。午後になると長崎から諫早へ移動。ここで念願だった島原鉄道に初乗車〜♪島原鉄道とは文字通り島原半島を走る総延長43.2kmのローカル線。黄色いカラーの車体が特長です。調べたところ明治40年に開業したそうなので、もう100年以上の歴史があるんだそう。珍しい1両編成の車体にゆられながら、有明海を眺めつつ島原半島をゆっくり東へと進みます。

 
 そして降り立ったのは「多比良町駅」。なんでここで降りるのかっていうと、今回のぶらり旅で一番やりたかった「フェリーで有明海を横断する」ためなのです!!18歳まで佐賀の有明海に親しみながら育ち、「いつか船で有明海を渡りたい」という夢をついに叶える時がやってきました!(涙)多比良町駅から歩いて15分で多比良町港に到着。ここで有明フェリーの乗船代(大人440円)を支払い、対岸の熊本県・長洲港を目指すというワケです。

 
 わかりやすく地図上に落とし込むとこんな感じです。有明海の一番狭い部分をフェリーで繋いでいるんですね。しばらく待っていると乗船するフェリーが到着。乗客がまばらな船内で、45分間の船旅。この日の有明海は波もおだやかで快適な船旅となりました。やがて対岸の長洲港に到着。最寄りの長洲駅までは事前に地図でチェックして「この距離なら歩いて行けるだろう」とタカをくくっていたら、これがなかなかとんでもない距離でして…。港から駅まで行く公共交通機関もなく、タクシーすら捕まらない状況だったので、仕方なく真っ暗な道を30分かけて歩きました…これがなかなかキツかった。

 
 長洲駅からJRで大牟田まで行き、そこから西鉄に乗り換え。お馴染みの西鉄電車の水色と赤のカラーリングがなんと懐かしく感じたことか…。大牟田からは特急に乗車し、西鉄久留米まで移動。3日目の夜はこの久留米に泊まります。歩き疲れて随分お腹もすいていたので、久留米で一番の「お気に入りカフェ」に夜ご飯を食べにいくことにしました。

 
 そのお気に入りのカフェとは「ルスカフェ」さん。数年前に一度行ってから大好きになったカフェです。ルスカフェの魅力はレトロで珍しいアイテムがこれでもか!と言わんばかりに店内にあふれているところ。昔の喫茶店のような雰囲気も感じられ、なんだか妙にワクワクするお店なのです。「お久しぶりです〜!」カウンターに座ってオーナーの光安さんに挨拶しながら、いっぱしの旅人のように、これまでの旅の経過を勝手に報告してきました(笑)。

 
 すごくお腹が減っていたので、何をオーダーしようかと迷ったあげく、オムカレーといちじくのタルトを頂きました。ハンドドリップで淹れて頂いたコーヒーのカップはオールドパイレックス!その後しばらく光安さんと談笑しながらルスカフェの空間を満喫してきました。この日の夜は女性二人のお客さんが多かったなぁ。とことんしゃべってお腹も満たしたので、早々とホテルにチェックイン。さて、明日はいよいよ最終日です!!
 
 最終日の朝はちょっと遅めに起きました。この3日間、電車移動と歩いてばっかりだったもんなぁ。旅人もなかなか疲れるものです(笑)。朝の空気を吸いながら、久留米の街をぶらり散歩。かつて久留米井筒屋があった場所には久留米シティプラザという商業施設が建っていました。途中、路地の中に風情のある喫茶店を発見!その名も「ばんぢろ」。看板を見ると「創業55年」と書いている。しかも11:00までモーニングもやってるじゃないですか♪早速入ってみることに。

 
 入店すると2名のおじいさんの先客がありました。特に会話することもなく、黙々とモーニングを食べている。常連さんなのかな?マスターがオーダーをとりに来たので、僕も迷わずモーニングをオーダー。出て来たモーニングはブレンドコーヒーに小振りのトーストが2枚、それにミニサラダが付いてきました。これで450円。僕の中では喫茶店=スポーツ新聞なので、スポーツ新聞を片手に美味しく頂きました。

 
 モーニングを食べた後は、再び街をぶらぶら歩いたり、公園でぼーっとしてたりしながら久留米時間を満喫。そうしているうちに前日の夜、ルスカフェの光安さんからちらっと聞いた「ブルックリン食堂」を発見!最近、久留米で話題のお店なんだそうです。店内に入ると、レンガとコンクリートでコーディネートされたクールな内装に、不揃いの椅子が整然と並んでいます。ソリッドでクールなその様は、まさにブルックリンのイメージそのもの!久留米にもこんなかっこいいお店があるんですねー!

 
 メニューをパラパラ眺めていると、気になる名前を発見!それはまさかの「焼き飯」。「ブルックリンスタイルなのに焼きめし…?」不思議に思ってちょっと調べてみると、なんでも今、久留米の「焼き飯」がじわじわブームになっているんだそう。久留米のラーメン屋さんの80%には焼き飯があり、この「焼き飯率」は日本一なんだとか。久留米も新しいB級グルメとして売り出しているそうです。「んじゃオーダーしてみますか!」やって来た焼き飯は、昔ながらのシンプルなスタイル。しかも嬉しい事に味噌汁付き。ブルックリン調の店内で食べるのはちょっとシュールな感じもしましたが、美味しけりゃそんなの関係ありません♪地元愛あふれるメニューを堪能させて頂きました。

 
 秋の一日は本当に早いです。気がつけば斜陽が差し込む時間帯になってしまいました。最終日、あと一店舗だけ、どこかに行ってみよう。そう思い立ち向かったのは柳川市でした。西鉄電車に乗り、一路柳川駅へ。柳川駅もちょっと前にリニューアルされていたとは聞いてましたが、そのあまりの建造美にしばし見とれてしまいました…。駅から川下りの川を眺めながら徒歩で移動。最後の目的地へと向かいます。

 
 やってきました!今回のぶらり旅の最終目的地「ムトー商店」さんでございます!このムトー商店さんは厳密にはカフェではなく、柳川のおみやげやオーナーが好きなアイテムを販売するセレクトショップ。味のある古い建物がなんともたまりません!様々なデザインのてぬぐいやレターセットやマスキングテープなどの文房具のほか、製法や原材料にこだわった調味料、そして昔懐かしいアイテムが所狭しと並んでいました。

 
 昔懐かしいレトロなアイスキャンデーやコーヒー牛乳なども販売されてました。店内には小さなカウンター席とテーブル席があり、ここでコーヒーがオーダーできます。聞くところによると、店主の武藤さんは大川市にある名店「あだち珈琲」でかつてご勤務されていたそう。かわいいハートのラテアートが描かれたカフェラテを頂いてきました。小さな店内ながらも、ずっとお客さんが後を絶たず、柳川の人々の良き拠り所になっているようでしたよ。また柳川に行った時に立ち寄ってみたいと思います。

 というワケで、3泊4日の「鈍行列車で巡る北部九州カフェぶらり旅」のレポートでした。
  タイトル通りに全ての行程を鈍行列車で行った訳でもなく、フェリーなんぞも使ってしまいましたが、個人的にはとても満足度の高い旅となりました。
  普段お仕事が忙しくハードな生活を送っている人も多いと思いますが、たまにはこんな感じで鈍行列車にゆられてぶらり旅してみると、普段と違う景色も楽しめて良い気分転換になるハズです。特に福岡は筑前・筑後・豊前の3つの国が合併して誕生したという歴史もあり、ちょっと離れたエリアに行くだけで全く異なる表情や文化を見せてくれます。交通機関も発達しているので、ぶらり旅にも最適なエリアと言えますね。
 あと、今回改めて感じましたが、福岡県内にはまだまだ知らないカフェが数多くあります。ぶらり旅をしながら、疲れたらその土地にあるカフェでひと休みしてみるなど、いろんなカフェを一緒に楽しんで頂ければ幸いです。
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