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 杜の都・仙台・・・という書き出しで始まる仙台についての記事は実に多いのだけれど、5〜6月の仙台の街を歩くとこの表現が実にふさわしい事がよく分かります。メインストリートに生い茂るけやき並木の葉が緑濃く鮮やかに色づくこの初夏こそ、仙台がもっとも美しい季節。

 宮城県仙台市は人口約102万人(平成17年度)の東北地方随一の政令指定都市。青葉城跡、東北大学、広瀬川・・・仙台を象徴するものはたくさんあるけれど、かつてこの街に暮らし学生時代を過ごした私にとって仙台はまさに青春そのもの。
 その青春時代の同級生同士が結婚することになりまして、これは何が何でも福岡から飛んで行かなきゃ!と喜び勇んで行ってまいりました。「あ、ついでに仙台カフェの取材もよろしく!」とsuede氏から指令が下り、とても短い時間の滞在だったのですが初めてのカフェ取材も敢行してきましたよ。
 多くの地方都市がそうであるように仙台にも大学や専門学校が多く存在しており、昔から「学生の街」とも呼ばれています。そのためか古くから続いている喫茶店も多く、そこではたくさんの若者が思い思いに青春を謳歌しながら現在まで時を繋いできました。そんな仙台の近頃のカフェ事情はいったいどうなっているんでしょうか?
 
 一年でもっとも美しい季節の仙台の街と、昨今盛り上がりを見せている仙台のカフェ、ご自分が旅をしている様子を想像をしながらどうぞごゆっくりご覧ください。

 

▲仙台市の中心部、仙台駅。この駅の東口(裏側)に専門学校があったため、この仙台駅は私がかつて毎日通った懐かしの場所。駅前にはペデストリアンデッキという巨大な歩道橋がかかっていて、そこから各方面に歩いて行けるようになっています。右はそのペデストリアンデッキから見た駅前のメインストリート・青葉通り。ブルーとミントグリーンの仙台市営バスのカラーリングがとっても懐かしい!


 
▲仙台といえば言わずと知れた独眼竜・伊達政宗公。仙台駅の中には政宗公の騎馬像があって渋谷のハチ公のように人々の待ち合わせスポットになっているんです。懐かしい駅前の街を見渡してみると・・・なんと!駅前にロフトが出来ていました。ここはかつてはams西武という百貨店だったのです。一階に入ってたダンキンドーナツがとっても好きだったなぁ・・・。

 
▲友達の車で駅前の青葉通りから東二番丁通り、定禅寺通りと仙台のメインストリートを走ります。この定禅寺通りにはけやきの街路樹がたくさんあって、特に初夏は葉っぱが色鮮やかに生い茂り一年で一番良い季節です。通りの真ん中は遊歩道になっていて、毎年「定禅寺ストリートジャズフェスティバル in SENDAI」というイベントが開催されオープンカフェが出たりしています。また12月にはこの街路樹すべてがライトアップされる「光のページェント」というイベントがありとても感動的なんですよ。その定禅寺通りを西に向かうとやがて右手に「せんだいメディアテーク」という建物が見えてきます。

 

▲このメディアテークという建物は仙台市民図書館や映像音響ライブラリーが入った公共の複合施設で、建築家・伊東豊雄氏が設計したもの。右のようなチューブが全部で13本、地下から屋上まで突き抜けておりそれぞれがエレベーターや階段、空調などを内包しています。このチューブのおかげでこの建物のフロアには柱がないんです。建築界でも数々の賞を受賞し高い評価を得ている有名な建物なんだそうですよ。


 
▲そんな近代的な建築物であるせんだいメディアテークのある角を曲がると、そこには昔ながらの街並みが息づいています。その道を進むと最初に訪れたティッカが見えてきました。隣りにはこれまた昔ながらの駄菓子屋さんが。

 
▲ここティッカは戦後に建てられた民家をリノベーションしたカフェ。手作りのインテリアが古い家にマッチしたとてもステキな空間です。右の写真は窓の鍵。こんなにアンティークなものがそのまま今でも使われているなんてステキですよね。

 
▲せっかく仙台に来たんだもの、やっぱり楽天イーグルスの本拠地はおさえとかないと・・・ということでやって来ました、フルキャストスタジアム宮城。かつては宮城県営球場という古い球場だったのですが、今では楽天カラーの立派な球場に様変わりしていました。ロゴのカラーリングがカワイイですよね。

 

▲球場そばのJR宮城野原駅は楽天カラーでキャップをかぶったかわいいデザイン。仙台駅からJR仙石線で二つ目の駅でJRでは珍しい地下駅なんです。近辺にもキャップをかぶった自動販売機なんかがあって町全体が楽天一色といった感じですね。チームが徐々に強くなってきたら今の福岡のように仙台の街も盛り上がるんでしょうね。


 
▲寄り道はそのくらいにして、二軒目のni vu ni CONNU cafeへ。このカフェはオフィス街の裏の細い小道にひっそりと佇んでいて、通りの向かいには仙台フォーラムというこれまたひっそりとした映画館があるんです。個人的にすごく好きな立地のカフェでした。入口にあった古いポストがいい味出してます。

 
▲福岡でいうところの天神界隈にあたる仙台の繁華街は一番町〜名掛丁というアーケード街。ところどころ車が横切れる道もありますがアーケード街は歩行者専用なんですね。両脇にたくさんのお店が建ち並んでいます。昔からあった店と新しい店が混在しており、昔そこに何があったのか今ではもう思い出せなくなってるところも・・・。

 
▲アーケード街を南に抜けて歩いたところに「cafetora」というカフェがありました!カフェトラと同じ名前のカフェなんでどんなところなのか行く前からずっと楽しみにしてたんです。岩塩を付けて食べるフライドポテトは赤いミニバケツに山盛り入ってきましたよ。これがまた止まらないおいしさでした。

 
▲今回の仙台行きの一番の目的だった専門学校時代の友達の結婚パーティー。左の写真はパーティーでの引き出物。二人のこだわりがたっぷり詰まったオリジナリティの高い内容でしたよ。パーティーでは新郎新婦が専門学校の同級生同士とあって参加者は同窓会さながらの盛り上がり。中には約10年ぶりに会った人もいたのですが、皆あの頃と変わりなくステキに歳をとっていました。あまりに短い滞在時間だったこともあり名残惜しい気持ちを抑えながら乗り込んだ帰りの飛行機でしたが、飛行機の窓から見えた空はどこまでも青く、郷愁に浸りながら福岡へと戻る私の心にパワーを与えてくれているようでした。

 今回取材させていただいたのは時間の都合で三軒だけでしたが、仙台には他にもステキなカフェがたくさんありました。カフェを訪れる客層も実に様々で、それは喫茶店のそれと大差ありません。そのあたり昔から喫茶店の多い仙台らしいなぁと感じました。どのお店もまるで当たり前のように街にしっくりと溶け込み、街と一緒に時を刻んでいたのがとても印象的でした。
 もしも皆さんがいつの日かこの仙台を訪れることがあったら、この東北ならではのゆったりのんびりした空気感を街角でカフェで感じてみてください。きっと一生ココロに残るようなステキな思い出を作れる街ですよ。
2006年6月 hanako

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