トーキン★カフェ

「69'ners FILM」芳賀英行さん
■最初はインディーズの監督さんにオファーしてインディーズ作品をやってたんですけど、そのうちに8mmとかも貸し出すようになって。カメラとかと同じような感覚でとれればと。
●ちょうどlomoが流行った頃ですよね?
■そうです。そういう流れで8mmを普段持ち歩いてて撮ったりしてもいいかなって。でもファッション感覚でやっちゃうとなかなかその先が続かないと言うか。撮って編集まではできるけど、人に見せるほどではないなと。自分もセンスなかったと思いますし。で、その頃から制作はほとんどしなくなって。セレクトすることに集中しました。
●上映場所はどんな所だったんですか?
■当時は美術館とか公民館とかで上映されてたんですけど、せっかく上映するならもっと気安い場所をということで考えたのがバーだったり、クラブだったり、カフェだったりしたんですね。
●ちなみに最初の上映場所はどこだったんですか?
■赤坂にあるサブウェイさんです。
●あ、サンドイッチ屋さんの・・・?
■いえいえ(笑)。赤坂のけやき通りのケンタッキー側にあるバーです。そのときはある写真家の方と一緒にやったんですけど、まあ、色々ありまして(笑)。
●第1回目は共催みたいなカンジですか。じゃ、単独でやったのは第2回目なんですね。
■自分で企画たててサブウェイさんと北九州のsoapさんと一緒にやりますって。作品もそんなにツテがなくて考えさせられるような重たい空気間の作品のオンパレードでして。一つ一つは面白かったんですけどね。こちらの構成が上手くなかったと。試行錯誤の結果69'のスタイルが出来てきたのは、3回目からですね。
●そうですか。先ほど福大生とお伺いしましたけど、大学時代もやはり映画を?
■大学生の時は映画館行ったりとかの単なる映画好きでしたね。当時ってミニシアターブームじゃなかったですか?
●はいはい(笑)。そうでしたねえ。なんかその転機になる映画みたいなのってあったんですか?これを観てから人生変わった、みたいな。そういう事ではなかったんですか?
トーキンカフェ
■んー、そういう事ではなかったですね。「なんかスキマだなぁ」とは思いましたねぇ。(笑)隙間っていうか、なんかこういうことってやってないなぁっていうか。やったらいけるんじゃないかな?とかって。
●うーんなるほど。話が脱線しちゃいましたけど。で、そうこうしているうちに先述の営業マンとして社会人生活が始まった訳ですね。
■はい。大学卒業後、ジーエムメディカル(株)という医療機器の専門商社に入りました。でも、社会人になってもその会社の中で69'ners立ち上げてやれ、っていうくらいの気持ちがありましたね。全然ジャンルは違うんですけど。その会社の社長が通常の業務をがんばれば何でもさせてくれるような方だったので。
●じゃあ、会社の後押しを受けながら活動されてたんですか?
■そうです。当時会社に入ったときには社長の直属の事業部で勉強させてもらってたんですよ。今も業界は違いますけどかなり活かされてます。イベントの時などに全社員出ないといけないメーカーさんのセミナーとか勉強会とかあっても、それは目をつぶってもらえたというか。
●そうやって活動の時間を作って貰えるというのは随分理解のある社長さんだったんですね。
■仕事に支障をきたしたらダメだけど、自分のやりたいことはどんどんやれと。個人・家庭・仕事を分けて考えてそれぞれ満足させることがいい仕事につながると。
●そうやって活動しながらもやはり夢ややりたいことは大きくなっていって、それが独立という動きになっていったんですね。
■そうですね。4年働いてたんですけど、最初は普通に両立できてたんです。でもそれにゆるさを感じてしまって。なんかどっちも中途半端になりそうで。で、いろいろ考えてやっぱり映画に関わる仕事が出来たらと。ただ、社長は今でも尊敬している方で一生付き合って行きたいなとは思ってたんですよ。会社の中でやるなら認めて貰う必要があると。となると会社の中で人より頑張ってガッツリ位置を明確にして好きなことしないといけないなと考えると、今やっている上映イベントは一時期中断せざるをえないと。うーん。迷いました。でもやっぱり、映画に関わる仕事が出来たらと。そこで辞めるのを決断しました。
●そうなんですね。
■でも実は今でもお付き合いがあって。辞めた3年後に出資して頂いてるんです。だから今、資本関係があるんですよ。
●そうなんですか!いや、それはすごいですね。
■そう、その社長がすごいんです。
●今は一本でされているわけですけども、ある程度収入的な部分を見越してというかサラリーマンじゃなくても食っていけるっていう目算があったんですか?
■いや、えーとないです。
●ないんですか。逆にいうとそういう危機感みたいなものってなかったですか?今まではサラリーマンで給料をもらっていたわけで
■そうですね。たぶんいい額を普通に貰ってたんで大満足してたんですよ。だから会社を辞めるのはレールを外れるみたいな感じだったんですけど。
●普通に考えるとたぶんサラリーマンでやってる人達もちょっとした副業やってる人とか多いと思うんですけど、でも基盤があるからこそ出来るっていう部分があるじゃないですか。
■はいはい
●それを今までちゃんとしたレールの上に乗ってたのを、切ってしまってこっちの方にポンときたワケですよね?
■そう・・・おバカさんですよねぇ(笑)まさしくホントそうですよ。(笑)別にそこの目算とかなくてただやりたいっていう意志だけでしたよね。なんかその後のお金の事とかっていうのは最初から全然考えてなかったんです。
●へぇー
■でも、絶対ついてくるって思ってたんで。今もそう思ってやってるんですけど。
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