福岡市民の憩いの場として誰もが知っている「福岡市動植物園」。その小高い丘から、桜坂方面にてくてくと坂を降りていくと、左手に赤い暖簾と黒猫の看板が目印の、瓦葺きの小さなお店が出現します。ここが1998年9月よりこの場所で営業を続けている「喫茶松榮」。数ある福岡のカフェの中でも老舗の域に達する、知る人ぞ知る人気店です。長い年月を経て付近も随分変化を遂げてきましたが、この喫茶松榮だけはオープン当時とほぼ変わりなく、毎日ゆっくりとした時間が流れています。
古い民家を藁葺き職人の手によって改装したという店内は、重厚でシックなブラウンと白壁でコーディネイト。店内の至る所に障子戸や和紙、榊や生け花、小上がりといった和のテイストがアクセントとして盛り込まれ、近隣の閑静な空気と相まって凛とした空間が形成されています。
メニューはサイフォン仕立てのコーヒー(¥500)やポットサービスの紅茶(¥600)などのドリンクに、しっとりとした食感が人気のシフォンケーキや、白あんを練り切り風にしたオリジナルの生菓子、自家製アイスクリームなど、くつろぎのひとときを演出してくれる手作りのデザート類が中心。
都会の喧噪を離れてゆっくりと寛ぎたい時、和の空間の中でのんびり読書をしたい時はもちろん、動植物園の近くにあるのでデートコースの中に取り入れるときっと喜ばれると思いますよ。
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オープン以来、喫茶松榮のシンボルとしてずっと変わらないのが、黒猫の看板と大きな赤い暖簾。猫をモチーフにしたのは、かつてこの辺によく野良猫が居たからなんだそうです。
重厚な焦茶色のインテリアと白壁で構成された和風の店内。長年の時の経過とともに味わい深くなってきました。コンパクトにまとまっていて、一人で過ごすのにも丁度いい広さ。
小さなカウンターにはいつもにこやかな松榮さん姉妹の姿が。背面に飾られた切り株は、なんと屋久杉を切り出して作ったもの。上部の照明部分は障子戸を組み込んで作られています。
奥の窓からは障子戸越しに柔らかな光が差し込みます。その傍らには和紙で作られたランプシェードや季節の生け花が。凛とした和の情景、ここにあり。
入り口から見えづらい一角には、小上がりになったテーブル席も用意されています。靴を脱いでゆっくりくつろぎたい、という方は是非この席へどうぞ。
毎月素材が替わる「月替わりのシフォンケーキセット」は珈琲or紅茶付きで¥850。この時は富有柿とリンゴとキウイのシフォン。柿の甘さがケーキに良く合います。