博多三大祭のひとつ「放生会」で有名な筥崎宮。その程近い場所に2009年3月に誕生したのが、この「箱崎水族館喫茶室」。
ひとたび耳にすると「箱崎の水族館の中にある喫茶店」のようですが、実際には箱崎に水族館なんてありません。その答えをオーナーの花田ご夫妻に尋ねてみると、はるか昔に箱崎には水族館があり、奥様の曾祖父が館長を務められていたそう。やがて昭和7年に水族館は閉館、それから時は流れ今や誰も水族館の存在すら覚えていなくなってからその事実を知った奥様が、ご自身でルーツを辿って行く中で、かつての華やかだった箱崎を少しでも良い街にしていきたいという思いが湧き、当時の箱崎のシンボルであった水族館の名前を冠したという、実に思い入れのある店名なのです。
また、旦那さんは長年ギタリストとして活動していた縁もあり、ご夫婦で「音楽の感動を身近に感じられる場づくり」をテーマに日々営業中。時折店内で開催されるコンサートもコーヒー片手に楽しめるという気軽なスタイルで行われています。
ちなみに「福岡市健康食育サポート店」でもあり、地産地消活動はもちろん、メニューにはほとんど卵や乳成分を使用しておらず、食事制限のある方も安心して食べられるものを提供しているという配慮までなされています。
「特に音楽を志す若い世代の方達に存在を知ってもらい、この店から音楽の花が咲き、ゆくゆくは箱崎の活性化に繋がれば」と目を細める花田さんご夫妻。お二人による喫茶と音楽を通じた「賑わいの町・箱崎」づくりは、まだまだ始まったばかりです。
入口のドアにはチェロの表板が貼られ、ドアノブにはネックを使用。これも「気軽に音楽に親しんで欲しい」という現れなんだそうです。
予想外に奥行きのある店内。随所に設けられた本棚には数々の書籍が整然と並んでいます。耳を澄ませば心地よいクラシックのBGMが。
椅子は店内の雰囲気に合わせてセレクトしたというクラシカルなもので統一。テーブルの脚をふと見るとコーヒー豆の樽が活用されてました。
空いた時間にはぜひ本棚をチェックしてみて下さい。オーナーセレクトの文庫本から歴史的な書籍まで豊富にラインナップ。偶然の一冊に出会えるかも。
さらに奥へと進むと大きなスピーカーとピアノが出現。しかも自由に弾いても良いとの事。「喫茶が音楽を育てるお手伝いができれば」とは花田さん。
もっちりとした歯ごたえが特長の豆腐のマフィンとMサイズコーヒーのセットは¥550。カップやカトラリーも雰囲気にマッチしていました。