
“カフェおじさん”ことクハラによるぶらり旅企画「カフェトラ・トラベローグ」。
今回はかなり前より乗ってみたかったローカル線「松浦鉄道」に初めて乗車し、どこかの番組のような”ぶらり途中下車の旅”に行ってきました。
冬の足音が迫る晩秋の1日の、カフェおじさんによる旅の模様をとくとご覧あれ!
そもそも「松浦鉄道」ってどんな路線?
松浦鉄道(まつうらてつどう)は、佐賀県と長崎県をまたぐローカル線です。
旧国鉄の特定地方交通線であった松浦線を引き継ぎ、1988年から第三セクター方式で運行されています。
特徴としては、わずか93.8kmの区間に57もの駅があり、駅間距離が短く、生活に密着した利便性の高い路線構造を持っていること。その中にある「たびら平戸口駅」は、沖縄県・モノレールを除くJRグループおよび第三セクター鉄道の中で日本最西端に位置する駅として知られています。
海沿いの景色やのどかな田園風景を抜ける路線は、観光客にも親しまれているんですよ。
松浦鉄道の路線図
松浦鉄道の全長は93.8kmで、佐賀県西部の有田駅(有田町)と、長崎県の佐世保駅(佐世保市)を結んでおり、途中で伊万里市や松浦市など、西九州の主要都市や港町を経由して走っています。
旅のスタートは佐賀県の有田駅から
今回の旅の出発点となるのが、佐賀県有田町にある「有田駅」。松浦鉄道西九州線の起点駅であると同時に、JR九州の佐世保線も乗り入れており、両社の共同使用駅となっています。
駅舎の屋根から突き出た楕円形の構造物は、有田焼を焼く窯(かま)を彷彿とさせる特徴的な外観をしています。
駅舎の中に入ると、右手に松浦鉄道の切符売り場があるので、まずはここで乗車券を購入します。
今回購入したのは「1日乗車券」。松浦鉄道全線が1日乗り放題で、乗り降りも自由にできるとっても便利な乗車券。価格も大人2,500円、子供500円とかなりお得なのです!
乗車する日の銀色のシール部分をコインで削ると、コインで削った部分が黄色くなります。使い方は、電車から降りる時にこの乗車券を乗務員さんに見せるだけ。
さて、乗車券も購入したので、いよいよ松浦鉄道に乗車してみましょう!
ホームで待っているとほどなくして列車が到着。松浦鉄道でメインで運行されているのはMR-600形気動車という列車で、動力はディーゼルエンジン。電気ではなく軽油で動いているので、「電車」ではなく「列車」と呼ぶんです。
また、ほとんどの車両が1両編成になっており、通勤・通学利用と観光利用の両方に対応するため、ロングシート、4人掛けボックスシート、1人掛けシートの3種類の座席が組み合わされているのも特徴なのです。
最初の途中下車は蔵宿駅
最初の途中下車は、有田駅から3駅先にある「蔵宿駅」。佐賀県西松浦郡有田町にある無人駅です。
元々は1898年(明治31年)に伊万里鉄道の駅として開設され、松浦鉄道の駅の中でも特に歴史が古い駅で、現在の駅舎は1913年(大正2年)に建築されたものなんだそうです。
この駅舎の一部(旧駅事務室部分)はリノベーションされ、オーガニックにこだわったカフェ「薪の宿から」として利用されているんです。
カフェスペースはホームに隣接していて、停車・発着する松浦鉄道の列車を間近で見られるのも魅力ひとつ。
今回いただいたのは「カリフォルニアプレート」。地元産野菜料理と薪火パンがワンプレートになった一品で、風光明媚なロケーションの中でいただくと美味しさも倍増でした!!
■薪の宿から
住所:佐賀県西松浦郡有田町蔵宿丙
営業時間:10:30〜16:30L.O.(土曜日は11:00〜15:30L.O.)
定休日:木曜日・日曜日
TEL:0955-35-4714
Instagramはこちら!
伊万里駅付近を散策してみる
さて、薪の宿からでお腹を満たし、再び松浦鉄道に乗車します。蔵宿駅を出て7駅目にある「伊万里駅」に到着。ここで佐世保行きの列車に乗り換えるのですが、せっかくなので伊万里駅前を散策してみることに。これまで伊万里は何度も行ったことあるんですが、駅付近を歩くのは今回が初めて。
まず最初に目に入ったのは森永乳業と森永製菓の創業者である伊万里の偉人・森永太一郎氏の銅像でした。
そのほかにもカブトガニや伊万里焼のオブジェや歌碑なども並び立っていましたよ。さて、ここから佐世保駅の電車に乗り換えて、いよいよ長崎県に突入していきます!
長崎県に入り、松浦市へ
伊万里駅を出て、伊万里湾の美しい海を眺めつつ、いくつかのトンネルを越えると長崎県に突入。そしてたどり着いたのは長崎県松浦市にある「松浦駅」です。
松浦市と言えばアジフライが有名な街。駅には松浦アジフライ大使・西浦ありさちゃんのボードがあったのでまずは一緒に記念撮影(笑)また、駅のそばには大きなマップもありました。
松浦市では本場のアジフライを食べたかったのですが、先ほど「薪の宿から」で食べたばかりだったので、断念することに…。そのかわりカフェおじさんらしくカフェに行ってみることにしました。
伺ったのは、松浦駅から徒歩5分の場所にある「Matsuo Nouen + Coffee」。お店の向かいにある「松尾農園」さんが営む直売所とカフェが一体となっているお店で、店内ではコーヒーのみならず、農園で育てられた新鮮な野菜や果物や、アジフライにちなんだグッズがたくさん販売されていました。
いただいたのは期間限定メニューの「焼き芋スムージー」。お店の隣には2階建ての開放的なイートインスペースがあったので、くつろぎながらスムージーを堪能させていただきましたよ。
■Matsuo Nouen + Coffee
住所:長崎県松浦市志佐町浦免1252
営業時間:11:00~17:00(金曜日は18:00まで)
TEL:0956-72-0267
定休日:水曜日
Instagramはこちら!
日本最西端のたびら平戸口駅から左石駅へ
松浦駅を出て6駅目にあるのが「たびら平戸口駅」。ここは、沖縄県のゆいレール(モノレール)を除く、JRグループおよび第三セクター鉄道の駅の中で、日本最西端に位置する駅なのです。
駅名にもある通り、平戸島への玄関口となっており、駅のすぐ近くにある平戸大橋を渡ると、歴史的な観光地である平戸の市街地へアクセスできるんです。
時間の都合上ここで途中下車はできませんでしたが、またの機会に訪れたいと思います!
たびら平戸口駅を過ぎるとしばらく里山が続き、だんだんと市街地が現れてきました。やがて佐世保市内に入り、次の目的地である「左石駅」に到着。
この左石駅は、旧国鉄松浦線時代から続く歴史のある駅で、かつてはこの駅から分岐していた専用線があり、地域の産業を支える役割も担っていたんだそうです。
この駅のそばには「八番横丁」という、昭和の時代にタイムスリップしたようなレトロでエモいスポットがあるのです。
八番横丁の中にある「駅カフェなごみ」に行ってみることにしました。ここの名物は「しゃりん焼き」という、車輪の形をした回転焼き(今川焼き)。袋には懐かしい乗車券の形をしたスタンプが捺印されていました。レトロ繋がりでドリンクはラムネをチョイス。小腹を満たして、いよいよ終点の佐世保を目指します!
■駅カフェなごみ
住所:長崎県佐世保市田原町8-2
営業時間:11:45~18:00
TEL:0956-59-7574
終点の佐世保駅に到着!そして夜の佐世保を満喫!
そして左石駅から6駅目にある佐世保駅に到着!全工程93.8km。途中下車しながら約半日の旅でした。
佐世保駅のホームにも西浦ありさちゃんのボードがあったので、ここでも記念撮影させていただきました(笑)
ちなみに、西浦ありさちゃんは全国の鉄道事業者の制服を着たキャラクタープロジェクト「鉄道むすめ」の一人で、松浦鉄道のキャラクターとして、広報活動などを担当しているんだそうですよー。
せっかく佐世保に来たので、しばらく散策してみることに。駅からほど近い場所には「させぼ五番街」というショッピングモールがあり、たくさんの人で賑わっていました。建物は佐世保港に面して建てられており、海を眺めながら食事やショッピングを楽しめる開放的な空間。海沿いにはベンチやフォトスポットも設置され、憩いの場となっているんです。
そして夕食は「させぼ五番街」からほど近い場所にある「Cafe.5(カフェドットファイブ)」へ。
実はこちら、カフェトラで20年ほど前に取材をさせていただいたお店。取材当時のソリッドでジャンクな雰囲気から様変わりし、現在はおしゃれなカフェダイニングとして営業されていました
20年ぶりの店内でオーダーしたのは、取材当時にいただいたものと同じ「ベーコンエッグカレー」。
このカレーはオーナーさんがかつて東京・渋谷にある「モボモガ(現MOGA cafe)」で働いていた時に習得したカレーで、オープン当初からの看板メニューなのです。
スパイシーなカレーにベーコンと目玉焼きを乗せたビジュアルは取材当時のまま。しっかり辛さも感じられ、大変美味しかったです!
しかし、前回の取材から20年も経過しているとは…時が経つのは本当に早いよなぁ…。おじさんだから尚更そう感じます(笑)
■Cafe.5(カフェドットファイブ)
住所:長崎県佐世保市万津町7-6
営業時間:11:30〜22:00(週末は23:00まで)
定休日:木曜日
TEL:0956-22-8505
Instagramはこちら!
Cafe.5でお腹を満たした後は、佐世保市中心部にある日本でも有数の規模を誇る商店街「させぼ四ヶ町商店街」をぶらり散歩。
この商店街は、戦後から佐世保の商業の中心地として栄え、現在も百貨店、ファッションビル、地元の老舗店、飲食店など、多種多様な店舗が約200店舗以上軒を連ねています。
また、隣接する三ヶ町(さんかちょう)商店街と連続しており、この2つのアーケードを合わせると、全長約960mにも及ぶ非常に長い商店街となるそうで、これは直線型のアーケードとしては日本最長クラスと言われているんだとか。
四ヶ町アーケードも何度が訪れたことはありますが、夜に散策するのは今回がはじめて。週末の夜とあって、こちらもたくさんの人で賑わっていました。
そして、カフェおじさんらしく旅の最後に訪れたのは、させぼ四ヶ町商店街からしばらく歩いた場所にある「GOOD COFFEE LABO」。
本格的なロースタリー&コーヒースタンドとして、多くのコーヒーファンに長年愛されているお店で、店名の「LABO(研究所)」のようにコーヒーにこだわりを持っており、厳選された豆を使用したスペシャルティコーヒーが楽しめます。
僕は深煎り派なので、エルサルバドルの「コリオナ パカマラナ チュラル」をオーダー。店主の牛島さんとしばらくお話していると、共通の知り合いが多い上に、なんと釣り好きということが判明(しかもマイボート保持のガチの釣り人!)。コーヒー片手にいろんなトークを楽しませていただきました〜♪
■GOOD COFFE LABO
住所:長崎県佐世保市元町1-33
営業時間:12:00~19:00(金・土・日は8:00より営業)
定休日:木曜日
TEL:0956-59-5867
Instagramはこちら!
ということで、「松浦鉄道ぶらり途中下車の旅」、いかがでしたでしょうか。
先述したように、松浦鉄道は今回はじめて乗ったのですが、「ローカル線=寂れた路線」という当初のイメージを覆すように、観光客だけではなく、学生さんからサラリーマン、そしておじいちゃんやおばあちゃんまでの老若男女が生活の移動手段として日常的に利用していました。
さらにレトロさを感じられる部分も随所にあって、それも含めて松浦鉄道の魅力と言えるでしょう。
美しい海や、山の紅葉といった車窓から眺める景色は素晴らしく、さらに春の桜のシーズンになると、沿線に咲く桜の景色がめちゃくちゃ素敵なんだそうですよ!
まだ松浦鉄道に乗ったことがない方も、ぜひ1日乗車券を購入して、今回のようなぶらり途中下車の旅を楽しんでいただければと思います♪
■松浦鉄道の公式サイトはこちら!
https://matutetu.com
※本記事に記載した情報は2025年11月時点のものです。
























































